映画会社の方のトライスター

映画とか女児アニメの話をつらつらと書く予定

アイカツスターズ!最終回を控えた七倉小春ちゃんモンペの現在の心境

お久しぶりです、えめりひです。今回の記事はお見苦しい部分がある事を先立ってお詫び申し上げます。






いよいよ明日アイカツスターズ!が最終回を迎えま
す。
いや、本当のところはですよ。明日が来るのが怖いとか、アイカツスターズが終わるのが辛いとか、そういうのぼやくべきなんでしょうけど、それはそうとして自分はずっっっっと気になっている事があるのです。


ずばり「明日(100話)のステージは何をやるのか?」

幾つか候補は考えられるのです。ここらでゆめロラの〆としてPOPCORN DREAMING♪をぶつけるとか、2年生五人組でMUSIC of DREAM!!!をやるとか、はたまたCG有りキャラクター全員でアイカツ☆ステップ!をやるとか。

でもですよ、仮にですよ、ゆめロラまひあこ四人ステージとか来たらですよ、一体僕はどうなってしまうんでしょうか。OPがスタージェットだった頃画面を直視出来ずそっと画面から目を逸らすような僕がよりにもよって最終回でそういうのをぶつけられたら、僕はどうなってしまうのでしょうか。今のところ五人音源がある楽曲がWe wish you a merry Christmas AIKATSU☆STARS! Verしかないという状況がその不安に拍車を掛けるのです……

あのですよ、別に地雷カプとかあるわけじゃないけど、ゆめロラあこまひの組合せ見ると胸がキュェッってなってピリリっど張り裂けそうになって、24話での四人の星々の集いを見た時は明らかに体調が悪化して翌日の最終面接、物凄くグロッキーな状態で受けるハメになったんだぞ!!!!!!!ボクはそういう虚弱な人間なんだ!!!!!!

それに劇場版の前売り券の特典ビジュアルがこの四人だけだった時は胃が縮こまって、折角浅草橋にある山盛り唐揚げ丼の店に立ち寄ったのに全く喉を通らなかったんだぞ!!!!!!!わかるか!!!!!????この辛みがわかるか!!!!!!!



いやまあ2年前のアイカツ!最終回だって完全新規のカレンダーガールでしたから、きっと今回も凄いヤツをぶつけてくれるでしょう。大丈夫、私はアイカツスターズ!を最後まで信じます………

…いや、わかってるよ。こんなのが単なるワガママだってのは、自分がモンペ染みてるのはわかってますよ……けれども、言える時に言っておきたかったのです……すいませんでした。

というわけで明日3月29日。テレビ東京系列にて18:25より放映。アイカツスターズ!第100話「まだ見ぬ未来へ☆」お見逃し取り逃しの無いようお願いします。私はリアタイが厳しいですが、録画したのをじっくりと見届けたいと思います………


追記:最後に浅草橋の唐揚げ丼の店を紹介………と思いきや、浅草橋のハイブリッド酒場閉店してたんですか……えっと、じゃあ浅草橋で唐揚げモリモリ食べたい時は有頂天酒場に行こうね……

七倉小春、2年間の歩み(中編)

 以前書いた記事から読んで頂けるとありがたいです。

emerihhi7758.hatenablog.com

 

お久しぶりです、えめりひです。

突然ですが丁度去年の今頃のアイカツスターズ!といえば44話『春の予感♪』が放送されていた頃です。44話と言えばまひロラのみつばちのキスだったりなんだったり色々あった回なんですが、ゆめちゃんとあこちゃんが作っている雪だるまをよく見てください。頭部に付けられた花飾りに眼鏡……春ちゃんだ!!!小春ちゃんがいるぞ!!!!!

などといった感じで小春ちゃんがイタリアに旅立った後も、その名残は残っていたのです。ゆめちゃんは元より、あこちゃんもアイカツアイランドでは小春ちゃんと組んでいたこともあり小春ちゃんに寄せる思いは人一倍深かったのでしょう。そんな二人が作り上げた小春だるまは何だか嬉しくて、同時にちょっぴり切なくなる。何とも言えぬ一品でした。今頃海の向こうで小春ちゃんはどんなアイカツをしているのだろうか。ゆめちゃん達は勿論、私たち視聴者も小春ちゃんの動向は全く分からず、寒い冬を耐え凌ぎやがて訪れるであろう春をただ待ちわびるばかりでした。

 

―そして、春が遂にやって来ました。遠い海の向こうからやってきたアイドル海賊と共に

というわけで今回は小春ちゃん帰国からレインボーベリーパルフェ誕生までを振り返ってみたいと思います。

 

七倉小春ちゃんが歩んできたアイカツ(ヴィーナスアーク編)

四ツ星学園を辞めて海を渡った小春ちゃんはエルザ・フォルテ率いるアイドル学校・ヴィーナスアークに入学し、新たなアイカツに励んでいる最中でした。そしてヴィーナスアークでのアイカツを通じて小春ちゃんは二つの大切なモノを手に入れることになります。

まず最初の一つはデザイナーとしてのスキルです。小春ちゃんがエルザに見込まれたのはアイドルとしての才能、だけではなく荒削りながら光るものがあるデザイナーとしての才覚でした。小春ちゃんとデザイン。あまり関連性は無いようにも見えますが、秘められし才能の片鱗は1年生の時に既に表れていました。時は大分遡り第7話、ジュエルアイスクリームのキャンペーンモデルオーディションに臨むローラの為に小春ちゃんが衣装デザインの手伝いをしていましたが、その時の仕事ぶりを見ているとローラのやけに抽象的で大雑把なアイデア(宇宙人・原始人・半獣人ってなんだよ!?)を即座に、且つ明確にデザインとして描き起こしています。あれだけ多種多様なジャンルのデザインを即座に生み出せるのは、まさに小春ちゃんが備えし才能の一つと呼べるでしょう。その類い稀なセンスをエルザは見逃しませんでした。入学から間もないのに、そもそも本格的にデザイナーの勉強を始めてから間もないのにも関わらずエルザは自身のブランド、パーフェクトクイーンのデザインを小春に手伝わせている事から、小春に対する期待と信頼が覗えます。

 

そしてもう一つは自信でした。ヴィーナスアークでのアイカツを通じてデザイナーとしての素質を高めた小春ちゃんは徐々に自分だけのアイカツ、自分が目指すべき目標を見出していきます。そんな小春ちゃんの心境の変化がはっきりと垣間見えるのが64話の一幕です。昨年に引き続き短冊に目標を書き綴るアイドル達。そんな中小春ちゃんが短冊に書き記したのは『プレミアムレアドレスをデザインしたい!』でした。1年生の時に短冊に書いていた『夜空先輩みたいになれますように』という曖昧でぼんやりとした願い事と比べると小春ちゃんが自らのデザインの実力に自信を持ち、自分らしいアイカツを確立しつつあることがわかります。

『新しい場所で新しい自分を探してきます』

別れ際のその言葉通り、小春ちゃんはヴィーナスアークで新しい自分を見つけることが出来ました。しかし一方でヴィーナスアークは生徒それぞれの個性や魅力を取り払いエルザの下で高水準のレベルまで底上げされる画一的な教育方針を取っているアイドル学校です。その是非は一先ず置いといて、ひょっとしたら小春ちゃんもヴィーナスアークでのアイカツを通じて従来から備わっていた強さや魅力を失っていたかもしれません。けれども小春ちゃんはアイドルとして、デザイナーとして急成長を遂げた一方で芯の部分は決して他の色に染まることなく本来の色を保ち続けていました。誰に対しても優しく、真摯に向き合うその姿勢。そして胸に秘め続けた想い。ヴィーナスアークでの厳しいアイカツを通じても小春ちゃんの持ち味が薄れることは決してありませんでした。だからこそ、そんな小春ちゃんをエルザは高く評価していたのでしょう。自分色に染め上げようとしてもなお滲み出る強い個性。エルザが求めるアイドルの真の個性を小春ちゃんは備えていたのです。だからこそエルザはそんな小春ちゃんの実力を認め、ひいては自分自身の野望の為に敢えて小春に卒業を言い渡します。当然これにはエルザに目論見があったのですが、この時点でエルザの真意・及び太陽のドレスの存在を把握しているのは騎咲レイのみなのでその辺りの概要の説明は省きます*1。こうして小春ちゃんは満を持して四ツ星学園への復帰を果たすことになり、ゆめちゃんと共に新たな目標に向かって歩み出す決意をします。しかし立派な成長を遂げた二人の間には埋めがたい溝が生まれていたのでした。

 

再会

 

「ゆめちゃんが好き。大好き、とっても好き、いっぱい好き。だから…私もこの足で一歩を踏み出して、夢を掴むよ、夢に近づくよ!」

 

最早説明不要、72話『二人の一番星』の小春ちゃんの台詞なんですが、このセリフに至るまでの流れを今一度振り返ってみたいと思います。

 

春ちゃんが海の向こうでアイカツをしている頃、ゆめちゃんは己に課せられた呪いを打ち破り念願の歌組S4となり、トップアイドルへの階段を順調に駆け上がっていきました。かつて共にアイカツをしてきたローラや真昼、あこも同様にアイドルとして成長を遂げて押しも押されぬ人気アイドルとなりました。

その一方で小春ちゃんもヴィーナスアークで成長を遂げたのは前述の通りです。しかし小春ちゃんは他の皆とは違い、その間表舞台で輝くことは殆どありませんでした。皆がS4になったりブランドを引き継いでアイカツランキングで上位に食い込んでいる一方で、小春ちゃんは自分の活躍と成長がハッキリと認識できるような機会に恵まれませんでした。だからこそ小春ちゃんは思い悩んだのでしょう。「果たして今の自分はゆめちゃんに相応しいのか」と。その感情が浮き彫りになったのが72話でした。

幼い時からずっと一緒で、共にアイドルに憧れ、共に四ツ星学園に入学し、共に夢を追いかけた。だからこそ小春ちゃんがゆめちゃんに抱く劣等感は計り知れない物だったのではないでしょうか。自分が何も成し遂げられない間にゆめちゃんはどんどん先に行ってしまう。もう私にとって手が届かない存在なのではないか。今のゆめちゃんはもう私が知っているゆめちゃんではないのではないか。私がゆめちゃんのために出来る事なんてもう何も無いのではないか。そう思い悩んでいたのかもしれません。けれども、これらは全て小春ちゃんの思い過ごしだったのです。小春ちゃんはアイドルとしてもデザイナーとしても立派な成長を遂げて、尚且つゆめちゃんにとって小春ちゃんは今なおとても大切な存在である。それが明白になるのがこの回でした。小春ちゃんはドラマの撮影現場においてヴィーナスアークで培ってきたデザインの知識をいかんなく発揮し、成功を収めました。例え自分では気づけなくとも小春ちゃんの中にあった小さな輝きは今や果てしなく大きな輝きとなり、皆に負けず劣らずの立派なアイドルに成長を遂げていたのです。

 

同様にゆめちゃんにとって小春ちゃんがとても大事な存在であることも明らかです。そもそも小春ちゃんがゆめちゃんに頼み込む以前に、ゆめちゃんが小春ちゃんにドレスのデザインを頼み込もうとする節もしばし見受けられます。ゆめちゃんはデザイン力の低さを常に気にしていましたし、59話では実際にドレスのデザインについて小春ちゃんからアドバイスを貰おうとしていました。そして何よりも72話は終始ゆめちゃんが小春ちゃんを気にかけている構図が克明に描かれています。小春ちゃんが中々切り出せない話を何度も問い質そうとするゆめちゃんの反応はまるで小春ちゃんの口からデザインの話題が出てくるのを期待しているようにも見えます。もしくは小春ちゃんが四ツ星を離れる時、中々タイミングが合わず小春ちゃんの口から留学の事を聞けたのが直前になってしまったことを未だに引き摺っていたのかもしれません。

…これはあくまで憶測に過ぎないのですが、ひょっとしたらゆめちゃんも小春ちゃんに対して若干引け目を感じてたのかもしれません。歌組のS4になったものの先代であるひめ先輩にはまだまだ遠く及ばず、星のツバサも中々手に入らず歌組幹部であるローラとリリィに先を越されている状況でした。そんなゆめちゃんにとって、新たな世界で立派な成長を遂げた幼馴染の姿はとても輝いて見えていたのかもしれません。

 

視点を小春ちゃんの方に戻します。お仕事を成功させたことにより小春ちゃんにも自信がつき、ひめ先輩の言葉もありゆめちゃんは自分が知っているゆめちゃんのままであることを再認識しました。それでもまだ胸の中には不安が残る。だからこそ最初に発した言葉が「ベリーパルフェのデザインをお手伝いしたい」ではなく「ゆめちゃんが好き」だったのではないでしょうか。この後に続く「私もこの足で一歩を踏み出して、夢(ゆめ)を掴むよ、夢(ゆめ)に近づくよ」という言葉が正に小春ちゃんの意志を更に際立たせています。

―今の自分がゆめちゃんの力になれるのかは分からない。それでも私はゆめちゃんが好き。ずっとゆめちゃんの傍に居たい。その気持ちは決して揺るがない。だから私は臆さず前に進む。

そんな小春ちゃんのあまりにも純真な気持ちがいっぱいに詰まった言葉のように私は思いました。そんな小春ちゃんに対しゆめちゃんが切り返した言葉が「全部私の言葉だよ!」というのが、ゆめちゃんも小春ちゃんを求めていたことを証明しているかのようでこれ以上ないセリフだと思いました。

 

あの悲劇的な別れから約10か月、思いがけない再会から約4か月。アイドルになる前から共に歩んできた道は一度違ってしまった。それでも二人は再び巡り合い並び立った。あの別れは決して無駄ではなかったことを証明して見せたのでした。

 

しかし二人がそれぞれの分野で成長した事が、結果として避けようのない衝突を招いてしまいます。

ようやく歩み始めた二人のドレス作り。しかしデザイナーとしての意見、アイドルとしての意見。互いに譲れない二つの意志がぶつかり合い喧嘩に発展。いきなり共同作業は暗礁に乗り上げてしまいます。小春ちゃんもゆめちゃんもそれぞれの道でそれぞれのアイカツを重ねてきました。そこで積み重ねてきたモノはどちらも全く異なるものであり、且つどちらも間違っていない正しい意見でした。一概にアイカツと言えども正解は一つでないことは明白です。互いが別々の道を歩んでしまったからこそ生まれてしまった剥離は、二人の距離が離れてしまったことを嫌でも思い起こしてしまう悲劇の様にも見えました。

しかしギクシャクした二人を見て、先輩であり舞組のS4であるゆずは物凄く笑顔でこう言いました。

「二人の空気がすっごく悪いぞ!」

突然何てことを言い出すんだあんたは。思わずそうツッコミそうになりました。ですがこれは決して悲劇などでは無いのです。お互いが一人のアイドルとして、デザイナーとして立派な成長を遂げたからこそ生まれた衝突であり、二人の成長あってのものです。だからこそゆずはポジティブに捉えたのでしょう。同時にこの二人ならきっとすぐに仲直り出来ると始めから確信していたとも受け取れます。

そして周囲の手助けもありようやく仲直り出来た二人。そんな時降り注いでいた雨は止み空には七色の虹―あの日から二人の中に立ちこめていた靄が遂に晴れた事を象徴するかのような素敵なシーンです。あの時ゆめちゃんが最後の飴玉の包み紙を開いたのも決して偶然では無いのでしょう。そしてその紙に刻まれていた最後のメッセージは

「いつかきっとゆめちゃんと一緒に夢をかなえたい!」

その夢を叶えるべく、遂に二人のブランド・レインボーベリーパルフェが誕生するのです。

 

七倉小春が見つけた自分だけのアイカツ!

ゆめと小春、二人で作り上げたレインボーエトワールコーデを身に纏い、遂にゆめは地球のツバサを手に入れることが出来ました。そして思わず壇上のゆめちゃんに駆け寄り抱き着き涙を流す小春ちゃん。基本この二人が抱き合うときはゆめちゃんから抱き着きに行くケースが殆どなのですがこの時ばかりは小春ちゃんから抱き着きに行く。というのも感慨深いです。そしてその壇上で小春ちゃんはファンに向かって力強く宣言しました。

「ゆめちゃんと、そしてレインボーベリーパルフェのドレスを着る皆さんを、もっともっと輝かせたい」

 

「これが私のアイカツです!!!」

 

春ちゃんが歩んできた道は決して平坦ではありませんでした。自分の輝きを見つけられず迷っていた彼女は勇気を振り絞って飛び込んだ世界で自分だけの光を見つけて、最も大事な親友と共に大輪の花を咲かせました……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや!!!!!ちょっとまてい!!!!!!!!!!!!!!!ホントにこれで良かったんかい!!!!!!!!!!!!!!!!!

確かに小春ちゃんは他の誰もが辿り着いたことのない自分だけのアイカツを見出しました。それは小春ちゃんの悲願でもあり喜ばしい事です。自分もとても嬉しかったです。けれどもこれはあくまで小春ちゃんのデザイナーとしての到達点であり、アイドルとして当初から抱いていた「S4になりたい」「ゆめちゃんと同じステージに立ちたい」という思いがおざなりになってしまったように感じました。素晴らしいエピソードだったにも関わらずこの違和感がどうしても自分の中に残り続けていました。

結局小春ちゃんの当初の夢はおざなりになってしまうのか。いや、ゆめちゃんはハッキリと「私の親友で、アイドルで、そしてデザイナーの七倉小春ちゃんです!」小春ちゃんを紹介しています。アイドルとしての小春ちゃんは何処へ行ってしまうのか。幸福と同時に更なる不安に見舞われましたのでした………

 

 

しかし、小春ちゃんの物語はこれで終わりでは無かったのです。これはまだ通過点に過ぎなかったのです。レインボーベリーパルフェの誕生は小春ちゃんの集大成であると同時に、小春ちゃんの新たなアイカツの門出でもあったのです。

次回は小春ちゃんが今度は一人のアイドルとして輝きを放つ星のツバサ編後編について触れていきたいと思います。

 

一緒に渡ろう!七色の虹を!

そして、その向こう側へ!

*1:仮にゆめちゃんが自ら手掛けたドレスで地球のツバサを出現させていたらひょっとしたらエルザはずっと小春ちゃんをヴィーナスアークに留めてたのかも…?

七倉小春、2年間の歩み(前編)

皆さんいかがお過ごしでしょうか。えめりひです。

アイカツスターズ!もいよいよ佳境に入り、アイカツフレンズ!の放送開始に心をときめかせ、スターズの放送終了に胸を痛めるという二律背反する心理状況に揺れる方々も多いのではないでしょうか。私も先日STAR☆ANISとAIKATSU☆STARSの卒業発表を知った時は涙に明け暮れました。これは終わりではなく歌のお姉さんたちにとっても、アイカツというコンテンツにとっても新たな歴史の幕開けなのである。頭ではそう認識していたとしても、それでも悲しいものはやはり悲しいのです。

 

さて、アイカツが何かしら大きな転換点を迎える時、何か雄弁な事を語りたがる人間が必ず出てきます。これは決して可笑しな事では無いのです。アイカツに限った話ではなく、オタクというのがそもそもそういう人種なのです。それが自身の気持ちに整理をつけるための物なのか。それとも何か別の目的があるのか。自分の判断に及ぶ範囲の話ではありませんが、今回は前者の意味合いで記事を書いてみようと思います。

 

 

アイカツスターズには個性豊かで魅力的な人物が多数登場しました。各々に確固たるドラマが存在して誰が勝っても嬉しく、誰が負けても悔しい。時に美しく、時に無情な世界でもがき光り輝くアイドルの姿に心を奪われた方も多いのではないでしょうか。勿論私もそんなアイドルの皆が大好きです。皆大好きです。

けれどもその中でも「この子が特別に好き!」「この子が一番好き!」という、特定のキャラクターに対して他の子とは違う特別な感情を向けてしまう、という事は自分以外の人にも経験があると思います。自分はこれを勝手に「『好き』と『推し』の差異」と呼んでいます。アイカツの様に複数人キャラクターが登場するアニメだとやはり特段思い入れが深くなるキャラクターが一人や二人出てくるのです。

 

では自分にとってスターズのアイドルの中で特段思い入れが深く、所謂推しと呼べる存在が誰かと言うと、というかタイトルの時点でバレバレなんですが、そうです。

四ツ星学園中等部2年美組幹部、七倉小春ちゃんなのです。

 

七倉小春ちゃん。彼女の歩んできたアイカツは決して平坦な道のりではありませんでした。勿論彼女に限らずゆめちゃんやローラも、星宮いちごちゃんや大空あかりちゃんが歩んできた道も過酷な道のりでした。けれども小春ちゃんが歩んできた2年間のアイドル活動は、後にも先にも誰も歩むことは無いであろうあまりにも特異で異質な道だったと言えるでしょう。そんな前例にない唯一無二の存在である七倉小春ちゃんとは一体何者なのか。彼女が歩んできたこの2年間のアイドル活動は一体なんだったのか。アイカツスターズがクライマックスに突入した今だからこそ振り返ってみようと思い立ち、今回この記事を書くに至りました。ちなみに(前編)と銘打っている以上、今後もシリーズとして続いていく予定なのですが果たして書きあげられるのか、そもそもこの記事自体書きあがるのか定かではありませんが、ぼちぼちとやっていこうと思いますので宜しくお願いします。

 

七倉小春ちゃんのプロフィール

まずは手始めに小春ちゃんのプロフィールから洗い出してみたいと思います。当たり前すぎてあまり目を向ける機会はありませんが、小春ちゃんを語るうえで欠かせない様々な要因がここに含まれています。

 

  • 誕生日 4月15日(牡羊座
  • 血液型 O型
  • 身長 159cm
  • 特技 アイドル情報収集
  • 趣味 裁縫・(ゆめと一緒に)お菓子作り
  • 好きなもの 和菓子・お花
  • 苦手なもの 目立つこと

まず別に掘り下げる必要は無いけれど何となく触れておきたい点について。誕生日が4月15日とかなり早く、四ツ星2年生組(ゆめ・ローラ・小春・あこ・真昼)の中では一番生まれが早いです。特にゆめちゃん(3月3日生まれ)とは約1年の開きがあります。この二人が初めて出会った時期は残念ながら本編では明らかになっていませんが、断片的にある情報から察するに相当長い付き合いであることは覗えます。幼少期における11か月というのは非常に大きな差であると言えるでしょう。きっと幼い頃は生まれが早い小春ちゃんが実質お姉さんの様な立場でゆめちゃんと接していたのだろうかと、そんな光景が目に浮かびます。また牡羊座のO型と言いますと他にはヴィーナスアークの花園きららちゃん、アイカツ!姫里マリアちゃんがいます。

 

次に身長ですが、159cmという身長は同年代の女子の平均身長(152.6)と比べるとかなり高い部類に入ります。実際四ツ星学園の中で見てみても先輩である白鳥ひめちゃんや二階堂ゆずちゃんより高く、アイカツシリーズ全体で見ても霧矢あおいちゃん(157cm)や音城セイラちゃん(158cm)よりも高いです。しかし一方でセクシータイプという括りで見ると159cmという数字は小柄な部類に入ります。実際同じ美組の香澄夜空ちゃん(164cm)真昼ちゃん(162cm)と比べるとその差は一目瞭然ですし、再びアイカツシリーズ全体に目を向けるとセクシータイプは神崎美月(165cm)紫吹蘭(163cm)と160cmオーバーのアイドルがぞろぞろと名を連ねています。逆にセクシータイプで160cmを割っているのは小春ちゃんと大地ののちゃん(156cm)のみです。穏やかな性格に対して意外にも背が高く、セクシータイプとしては背が低い。こういう相反性もどことなく小春ちゃんの魅力の様に見えてしまうのです。ちなみにこれはほんっとにどうでもいい話になりますが数多くのアイドルが存在するアイカツにおいて身長159cmのアイドルは小春ちゃんのみだったりします。これもまた唯一無二の存在であることの裏付けになるのではないでしょうか(流石に無理がある)。

 

ここまではあくまで小春ちゃんのパーソナルな領域に留まった話でありそのまま物語に直結する要因というわけではありません。しかしながら上記のプロフィールを眺めていると不自然な所があり、それこそが小春ちゃんの人となりを示す重要なファクターなのではないかと自分は推察しました。それぞれ解説していきます。

それは趣味と好きなものについてです。「(ゆめと一緒に)お菓子作り」と名指しされている通り、ゆめちゃんと小春ちゃん二人の親密さが直に伝わってきます。しかし一方で小春ちゃんの好きなものとして挙げられているのは和菓子です。

ここに若干不自然さを感じたのは私以外にもいるのではないでしょうか。ゆめと一緒にお菓子作りとありますが、ゆめちゃんの実家は「なないろ洋菓子店」という名前の通り洋菓子屋です。ゆめちゃんと一緒にお菓子作りをするならば洋菓子作りになるのが自然のはずです。何故ここで不自然な差異が生じているのでしょうか。

これこそが実は小春ちゃんの”らしさ”なのではないでしょうか。確かに小春ちゃんはゆめちゃんと仲良しでゆめちゃんと行動を共にしている場面も多々見かけます。しかしその一方で決してゆめちゃんにべったり依存しているという事は決して無く、確固たる意志を持ち、己の道は全て己の決断で切り拓いています。振り返ってみれば組選びの時も小春ちゃんは自らの意志で美組に入ることを選び、早い段階からゆめちゃんとは別行動を取っていました。更に掘り下げていくと「アイドルになりたい」という根本的な夢も実はゆめちゃんにそそのかされた物ではなく、己の中に初めから存在していたという事が窺えます。ここで1話冒頭のやり取りを振り返ってみましょう。

ゆめ「どうしたの?書かないの?」

小春「あ、ゆめちゃん」

ゆめ「小春ちゃんいつも言ってたでしょ?」

小春「うん。でも…」

ゆめ「なろうよ!一緒に!」

小春「え?」

ゆめ「S4に!」

 

いつも言っていた。という台詞からアイドルになりたい!という思いは当初から小春ちゃんの中にあった事が窺えます。そもそも小春ちゃんの特技には「アイドル情報収集」というものが挙げられています。子どもの頃からアイドルに夢中でアイドルのステージを見ながら振り付けを真似ていた小春ちゃんにとって、アイドルというものはずっと憧れていた夢そのものだったのでしょう。

こうして見るとプロフィールにおける差分は誰にも流されない小春ちゃんの確固たる意志の表れの様にも見えます。引っ込み思案で、目立つことが苦手だけれど、それでも自分の意志を曲げるようなことは決してない。それが小春ちゃんの芯であると私は思いました。

こうして七倉小春ちゃんの華々しいアイカツが始まった……かのように思われました。しかし、小春ちゃんアイドル道は非常に険しく、幾つもの試練を経て、やがて予想だにしない方向へと雪崩れ込んでいくのでした―

 

七倉小春ちゃんが歩んできたアイカツ(1年生編)

四ツ星学園に飛び込んだ小春ちゃんに最初に訪れた試練は、同じ美組の1年生である香澄真昼ちゃんの存在でした。香澄真昼―美組S4の香澄夜空の妹であり、1年生ながら姉に決して引けを取らない類まれなセンスと飽くなき向上心は正に四ツ星学園新入生の中においてNo1といっても過言ではありません。後々の話にはなりますが、アイカツアイランドのオープニングステージの人気投票において1位に輝き、S4決定戦では姉である夜空を破り、現在進行中のアイカツランキングでは決勝トーナメント進出を果たすなど、四ツ星学園に留まらずアイカツ界全体の中でもトップクラスの立ち位置に君臨することになる非常に強力なアイドルです。美組に所属することになった以上、彼女と対峙することは避けられませんでした。

しかしライバルとしてしのぎを削る一方でこの二人は特別な友情を育んでいくことになります。真昼ちゃんが従来から備える大人っぽさに加えて、入学当初はまだ姉とのわだかまりが残っていたこともありとっつきにくさがあるキャラクターとして描写されていました(8話参照)。しかしそれに怖気づくことなく小春ちゃんは真昼ちゃんと関わっていきます。

そんな真昼ちゃんにもやがて試練が訪れます。自分を見捨てた姉を見返してやりたい。その一心で四ツ星学園に入学しアイカツに励んできた真昼ちゃんは己の本当の気持ちに向き合うことが出来ず苦悩を募らせていきます。そんな真昼ちゃんの内なる気持ちに真っ先に気付いたのは小春ちゃんでした。小春ちゃんは真昼ちゃんの口ぶりから姉を憎んでいるのではなく、本当はただ自分を見て欲しかった、寂しかっただけだという事を察知します。ここに小春ちゃんの誰にも分け隔てなく接することが出来る優しさ、人の痛みを感じ取れる思いやりの深さ、そして例え危うい状況であっても臆することなく相手と向き合おうとする強さがハッキリと現れています。これこそがまさに小春ちゃんのアイドルとしての、そして一人の人間としての強さであり魅力であると言えるでしょう。

ではその強さや魅力は果たして小春ちゃんが生来から持っていたものだったのか。言わば小春ちゃんは生まれながらの聖人だったのかと問われれば、必ずしもそうでは無いと言えるでしょう。小春ちゃんに真昼ちゃんの孤独が理解できたのは小春ちゃん自身も同じような孤独を抱えていたからである、と推測できる節が確かに存在しており、それはやがて小春ちゃんアイカツの大きな分岐点となる重大な事態に直結していきます。この点につきましては後程記します。

こうして真昼ちゃんは立ち直り新たな決意を胸に再び前に走り出していきました。一方で二人はアイカツアイランドのオープニングステージ、組のセンター決めオーディションなどで競い合ってきましたが、小春ちゃんが真昼ちゃんに勝つことは叶わず、やがてあの日を迎えることになります。あまりにも強大で敵わないライバル。その存在は小春ちゃんの中にあの選択肢を浮かび上がらせる要因になったと言えるでしょう。

 

もう一つのきっかけは、時同じくしてアイドルの世界に飛び込んだ虹野ゆめちゃんの急成長でしょう。ずっと一緒だったゆめちゃんは持ち前のひたむきな姿勢と諦めない心、そして謎の力を用いてトップアイドルへの道を駆け上がっていきます。ゆめに限らず行動を共にしてきたローラ、真昼、あこもどんどん先へと進んでいきました。こうしてみると、やはり小春ちゃんはこの4人と比べるとどうしても実力では劣ってしまっているというのが事実でした。小春ちゃん自身も美組の1年生オーディションで審査員特別賞を受賞していたり、アイカツアイランドのオープニングステージの選抜投票でも上位に食い込んでいたり、組のセンターオーディションでも最終候補に残っていたりと、決して他の4人より見劣りしている訳ではありません。けれども『二人でステージに立つ』という夢を叶えるためには何かが足りなかった。今の自分には何が足りないのか、これからアイドルとして輝くために何をすべきか。その答えを小春ちゃんは模索していました。

27話にてゆめちゃんからの「どんなS4になりたい?」という問いに対して「私は、夜空先輩みたいなS4になりたい。…と思ってたんだけど、今は自分らしさを見つけたい。そう思ってるんだ」という答えに小春ちゃんの気持ちの表れが滲み出ています。夜空先輩に褒められたいという想いで美組に入り、七夕の時短冊に『夜空先輩みたいになれますように』と書いていた頃と比べると小春ちゃんの心境の変化がはっきりと見えてきます。自分らしさを見つける為に何かを変えなければならない。その為に小春ちゃんが導き出した答えは『自分らしい目標を、自分だけのアイカツを見つける』というモノでした。そして小春ちゃんはある重大な決断を下します。

 

 

話は前後しますが、時系列上では24話の時点で小春ちゃんは両親からある話を持ち掛けられます。それは父が仕事の都合でイタリアに長期赴任することになり、家族で一緒にイタリアに引っ越す。というものでした。これは放送時どうしても腑に落ちなかったのでハッキリ言ってしまいますが、わざわざ全寮制の学校に居るのにも関わらず学園を辞めてまでしてイタリアに引っ越すというのは当初は不自然に見えました。実際アイカツ!の時は両親が海外在住のアイドルも居ました(一ノ瀬かえで、中山ユナ*1。それなのに何故小春ちゃんは学園を辞めなければならなかったのか。そう憤ったこともありました。

しかしこれには納得が行く明確な答えが存在します。一つは上記で取り上げた真昼ちゃんとのやり取りにあります。あの時小春ちゃんが真昼ちゃんの孤独・寂しさに真っ先に気付くことが出来たのは、自分自身が真昼ちゃんと同様に父親に会えず寂しい思いをしてきたからなのではないでしょうか。父親は出張が多く中々会えないという話は24話にて小春ちゃんの口から語られています。小春ちゃんにとってアイドルとはかけがえの無いものです。しかしその一方で家族の存在も同様に重要であることは言うまでもないでしょう。二つを天秤にかけてしまってもおかしくないでしょう。

しかしだからと言ってそれだけで念願の四ツ星学園を辞めてまでしてイタリアに渡るのは若干説得力に欠けます。しかしもう一つの答えは30話にて小春ちゃんの手紙にハッキリと綴られています。

『私がイタリアに行こうと思えたのはゆめちゃんのおかげなんだ。ゆめちゃんの凄いステージを見る度、私ももっと成長したいって心から思った。その為には今のままじゃ駄目だって気がするの。私たちはまだ未来の途中。新しい場所で新しい自分を探してきます』

春ちゃんがゆめちゃんに宛てた手紙の一文です。これこそがまさしく決定打でしょう。小春ちゃんは今の自分を変えるために、自分だけの輝きを見つけに、そして何よりも凄まじいスピードで駆け上がっていくゆめちゃんに追いつくために皆とは違う別の道を歩む覚悟を決めたのです。

全く新しい世界に飛び込むことは限りなく高いリスクを伴います。異国とあればなおさらです。それでも小春ちゃんは一歩前に踏み出すことを決意したのです。そんな小春ちゃんも、やはり旅立つ時にずっと堪えていた感情を我慢しきれず、思わず涙を流してしまいます。けれどもそんな自分を見送ってくれる人たちを目にしたとき、小春ちゃんは涙を拭い手を振りながら皆に手を振りました。そんな強さと気高さを日本に遺し、小春ちゃんはイタリアへと旅立っていったのでした―

 

春ちゃんは何を遺したか

以後、小春ちゃんの活躍を拝む機会はすっかり乏しくなってしまいました。半年間に渡る小春ロスの始まりです。けれども四ツ星学園には小春ちゃんの痕跡がはっきりと遺っていました。

それは小春ちゃんによって紡がれた絆です。小春ちゃんにさよならが言えず、自らのアイカツを見失ったゆめちゃんを立ち直らせたのは周囲の仲間たちによるものでした。そしてその仲間たちを結びつける役割を果たしていたのは、他でもない小春ちゃんだったと言えるでしょう。ゆめとローラの結びつきは歌組の中で自然と生まれたものではありますが、ゆめとあこ、ゆめと真昼を結びつけたのは紛れもなく小春ちゃんでした。真昼ちゃんが周囲と打ち解けるきっかけを作ったのは同じ美組である小春ちゃんのおかげだったとも言えますし、これまた周囲とはあまり積極的な関わりを持たなかったあこちゃんといち早く打ち解けたのは小春ちゃんでした。小春ちゃんがいたからこそこの4人は結びつき後の、物語の展開に大きな意味を持たせることになりました。そして小春ちゃんの「人と人とを結びつける能力」はこの後再び発揮されることになるのですが、それはまた次の機会ということで。

 

そして、ゆめちゃんの中にまだ小春ちゃんへの思いと未練が残っていることが判明する件もあります。42話*2にてゆめちゃんの口から発せられる「だって、小春ちゃんと同じステージに立ちたかったし、今でもそう思っているから!」という言葉には未だに立ち切れないあの時の悔しさと未練が切実な程に溢れていました。まだ小春ちゃんは確かに息づいている。それは嬉しくもあり、同時に辛い事でもありました。

 

 

こうして小春ちゃんアイカツは最初の1年を終えました。これは個人の主観的な感想になってしまうのですがはっきり言って1年目後半はホントにしんどかったです。

ゆめちゃんたちが成長していく中で姿形の無い小春ちゃん。4人が仲良くしている姿を見て「ああ、本当なら小春ちゃんも一緒に居たはずなのに…」と嘆くこともありました。今はこうして納得した上で振り返ることが出来ますし、あの時のアレがこうして息づいてるんだなあ…と納得できますが、リアルタイム時は先の見えない欠乏感に参りそうになることもありました。

けれども決してこの別れは無駄ではありませんでした。あの悲劇は決して無意味なものでは無かった。それを証明するための新たな小春ちゃんの物語が2017年4月、幕を開けたのでした―

 

というわけで次回はアイカツスターズ!2年目。星のツバサ編における小春ちゃんの活躍を振り返りたいと思います。七倉小春ちゃんアイカツは、ここからが本番なのです。

 

私の夢は、これからだよ!

*1:星宮いちごちゃんが斧で木を伐採しに行くきっかけになったあの子)

*2:ちなみに42話の脚本を手掛けた山口宏さんは後に55話にて小春ちゃんとの再会を、71話にて小春ちゃんの四ツ星復帰を、79話にて念願のアレを手掛けることになります

芸カ14の新刊についての話と七倉小春ちゃんについてのお話

芸カ新刊のあとがきがあまりにも淡泊すぎたのでこっちで補足(言い訳)をつらつらと書いていきたいと思います。

その前に、今回の新刊は文字数にして約13000文字と、非常に低ボリュームな作品になってしまいました。原因はプライベートがなにか何かと慌ただしく原稿に時間が割けなかったのと、そんな最中にゼルダにどハマりしてしまったのが原因です。申し訳ございませんでした。けどしょうがないじゃん!ブレスオブザワイルド超面白いんだもん!あんな濃密でやりごたえあるゲーム出されたらハマっちゃうのはしょうがないじゃん!そろそろDLC二弾来るから今年の年末年始はゼルダ(とマリオオデッセイ)やればいいんすよ!


話がめちゃくちゃ脇にそれました。あともう一つ原因がありまして、71話のあらすじを見て「これは見るまでは書けないな…」と思ったから、というのもありました。そうです、あの七倉小春三部作です。
春ちゃんが四ツ星に戻ってきて「ゆめちゃんが好き」を経てのレインボーベリーパルフェ誕生までの一連の回です。これを見るまでは書けない!というか書けるようなテンションになれない!というわけで執筆開始がだいぶ後倒しになりました。

んでもって71、72、73話が放送され、感動で胸が満たされたのは勿論の事なんですが、一方でまだ胸の片隅にはもやもやが残っていたのでした。

「なんかこれ、めちゃくちゃ巧い具合にはぐらかされたんじゃねえの?」と。

これは不満というか単なるワガママになってしまうんですけど、小春ちゃんのCG作らないのを無理やり正当化してないか?と思ってしまったのでした。

「ゆめちゃんと、そしてレインボーベリーパルフェのドレスを着る皆さんを、もっともっと輝かせたい。これが私のアイカツです!」(73話より引用)

この言葉が小春ちゃんの信念であることは間違いないですし、イタリアにまで渡りヴィーナスアークに入学して既存のどれにも当てはまらない、自分だけのアイカツを探し続けた小春ちゃんの到達点と言えるでしょう。

けどその一方で「これが小春ちゃんアイカツなんだからステージはいいよね?」と誤魔化されたような、そんな印象を同時に受けたのもまた事実でした。たとえそんな意志がなかったにせよ、今までの小春ちゃんの境遇を顧みればそういう裏がどうしても脳裏を過ぎってしまうんですよ…(後日これは覆されるのですがそれは後程)

ここで小春ちゃん復帰後からぼんやりと思っていた疑問がくっきりと表出しだしました。
「小春ちゃんはアイドルなの?それともデザイナーなの?」と。
スターズではいちご世代あかり世代とは違ってミューズが実質デザイナーみたいな扱いであり、星のツバサシリーズではローラや真昼、リリィらが自らのドレスを制作してる場面も見受けられました。ミューズが実質デザイナーなら、小春ちゃんの立場は何なの?そもそも小春ちゃん自身はもうアイドルの夢を諦めてしまったの?という疑問が沸々と湧いてきました。

f:id:emerihhi7758:20171118224323j:plain
例えばこれは最近ショップで発売されたうちわなんですけれど、ゆめちゃんがMuse&Designerと表記されていて小春ちゃんはDesignerとしか記されてないんですよ。……いや、じゃあ小春ちゃんの立場は一体なんなんやねん!というもどかしさをどうしても覚えてしまい…(ツーショットなのにゆめちゃんはスタープレミアムレアドレスで小春ちゃんは幹部制服というのもまた拍車をかけている…)

そんなこんなで満たされたはずなのに、もやもやが収まらない。というあまりにも複雑な精神状況に身を置くハメになってしまいました。このままアイドルとしての小春ちゃんはフェードアウトしてしまうのか?トップデザイナーとトップアイドル、二足の草鞋なんて無理なのか?いやいや、かつてデザイナーとアイドルを両立させてた大先輩がアイカツに居たじゃないか……………じゃああの二人と小春ちゃんを突き合わせたら新しい何かが生まれるんじゃ………それだ!!!!!

という感じに新刊のプロット作業が動き出しました。以降ぼちぼちと原稿は進んでいたのですが、色々あって足踏みしてしまう状況に見舞われました。

そしてそのタイミングで遂にアレがやってきました。そうです、79話『ハロウィンサプライズ』です。

あらすじの時点で
「なにやら作戦を立てているゆめと小春………ハロウィン………ハロウィンプリンセス……サプライズ………まさかね」
みたいな、いつものような捏造じみた思考を繰り広げてはいたのですが、78話の予告で思わず奇声を上げ以降1週間胃に穴が空きそうなコンディションで過ごしていました。

そして遂にその時がやってきました。その辺について語りだすとキリがないのでこの辺りは割愛するとして、一つ気になることがありました。

ゆめこはのMessage of a Rainbowでは「輝きたい 七色に」という歌詞の部分は小春ちゃん(ななせ)が歌ってるんですよね。これこそが、この言葉こそが小春ちゃんが目指していた道の到達点だったのでは?!と、少なくとも自分はそう思ったのでした。
アイドルとデザイナー、色は違えどその2つの色が重なり合えばもっと綺麗なモノが生まれる。更にそこに5つの色が重なれば虹色が生まれる。その色は正に様々な顔を持っていて、一つの場所に留まらず新たな環境に飛び出し様々なアイカツを経た小春ちゃんにとっても相応しい色なのではないか。そんなこんなでようやくはっきりと自分の物語の着地点が見えたのでした。


今後ゆめちゃんと小春ちゃんは、レインボーベリーパルフェはどんな成長を遂げていくのか楽しみにしたいと思います。ただせっかくCGが出来たんだからOPのサビの部分に小春ちゃん追加しても…………なんて思ってたら80話で早速追加されてバンダイに足向けて眠れなくなりました。以上です